説明は足りているはずなのに、相手の手が止まる。そんなとき、もう少し詳しい説明を足したくなることがあります。
でも、情報を足すと、読む量だけでなく、その情報を選び、探し、元の作業へ戻る仕事も増える場合があります。
資料の中に何が書かれているかと、それを使って相手が何をするか。この二つを、一緒に見てみたいです。
案内の一行には、いくつの動作があるか
例えば、社内の報告書を作る手順に、「書き方の例は別紙を参照」とある場面を考えてみます。
作り手には、補足を一行加えただけに見えるかもしれません。でも、使う人は別紙を探し、該当する例を選び、書きかけの欄へ戻ります。別の画面を開いたなら、どこまで書いたかも確かめることになります。
案内は短くても、必要な動作は一つとは限りません。
「情報はここにあります」と伝えることと、その情報を今の作業で使えるようにすること。その間に残った調整を、読み手が引き受けているのかもしれません。
読む順番まで、相手に渡していないか
今の欄を書くために必要な例と、背景を深く理解するための資料が並んでいたら、読み手はどちらを先に見るかも選ぶことになります。
作り手は全体を知っているので、その違いが分かります。初めて使う人には、同じようには見えていないことがあります。
顧客への案内でも、「操作方法」「よくある質問」「詳しい資料」を並べた後、今どれを見るべきかを相手に任せていないでしょうか。
そこで手が止まったとき、情報が足りないのか、それとも次に何をすればよいか選べないのか。見る場所によって、直すところは変わります。
今必要な説明と、後で読む補足を分ける
今の作業に必要な説明は、使う場所の近くに置く。理解を深める補足は、区切りの後や、必要な人が選べる場所へ分ける。
情報を残したままでも、その置き方は変えられます。
ただ、全部を同じ画面に詰め込むと、必要な箇所が探しにくくなる場合もあります。紙からWebへ移るQRコードや、長い説明へ進むリンクが役立つ場面もあります。作業前に必要な条件や注意事項は、手間を減らすために省けません。
数を減らすことより、その移動や選択が今の仕事に必要かを見たいです。
一箇所を、使う人の動きから読み直す
手元の手順書や顧客案内から、リンクや別紙参照のある箇所を一つ選んでみてください。
開く、探す、選ぶ、戻る。そこで相手に必要になる動作を、案内の横に書いてみる。
次に、今必要な説明を近くへ置くのか、補足を後へ移すのか、戻る場所を示すのか。一箇所だけ変更を考えてみる。
その案を実際に使う人に試してもらい、どこで迷うか、必要な情報を見落とさないかを確かめる。作り手が簡単になったと思うことと、相手が進められることは、別に見ておきたいです。
「何を伝えれば足りるか」に加えて、「そのために相手は何をするか」を見る。
親切さを、用意した情報の量だけで測らず、相手が次の一歩へ進めるかから考えてみる。その問いで、自分の資料を読み直せるのではないでしょうか。