商談では説明できた。でも、後で提案書だけを読んだ人にも、何を検討する資料か伝わるだろうか。資料を渡した後に、そんな心配が残ることはありませんか。
資料を渡すときには、説明する人がそばにいます。
何の話か、どこを見てほしいか、相手の仕事とどう関係するか。紙に書いていないことも、会話で補えます。
でも、後から資料を見返すときには、その人がいません。
渡す場では分かったものが、後では何の資料だったか分からなくなる。その違いを見るとき、読み手の記憶だけでなく、資料が使われる条件の変化も考えてみたいです。
会話が支えていた部分は、資料に残っているか
名刺も、交換しているときには、目の前の人と結びついています。
後で何枚か並べて見ると、名前や会社名は読めても、どんな話をした人か、何のときに思い出せばよいかがつながらないことがあります。
文字が読めることと、相手や話の内容を思い出す手がかりがあることは、別です。
これは名刺だけの問題ではありません。提案書や打合せの資料にも、説明する人と一緒に見れば分かるけれど、資料だけでは何のための資料か思い出せないものがあります。
その場では、会話そのものが資料の一部を担っていたのかもしれません。
「何が書いてあるか」と「何のときに使うか」
例えば、発送作業を見直す提案書を渡す、仮の場面を考えてみます。
打合せでは、荷物をまとめる場所と、確認する場所が離れていることを話した。その上で、配置を変える案を説明する。
後で資料を開くと、表紙には「改善案」、中には配置図がある。でも、何の作業を、どんな問題から見直す案なのかは、会話にしか残っていない。
図の内容は読めても、「発送作業を見直すときに取り出す資料」として結びつかなければ、必要な場面で思い出しにくいかもしれません。
ここで点検したいのは、説明文の長さより、渡した場面とのつながりです。
誰から受け取ったものか。何についての資料か。どんなときに見返すものか。その手がかりを、説明者がいない状態でもたどれるでしょうか。
手がかりは、用途によって変わる
顔写真があれば、会った人を思い出す助けになる場合があります。ただ、写真だけで、その人に何を相談できるかまで分かるとは限りません。
名刺なら、人や仕事とのつながり。提案書なら、扱った問題や検討する場面。打合せ後の資料なら、何を話し、どこまで決めたものか。
同じ手がかりを、どの資料にも足せばよいわけではありません。
資料が単独で使われるのか、メールや打合せ記録と一緒に使われるのかでも、残す場所は変わります。背景の全部を一枚に入れる必要はなく、必要な文脈へ戻れることが大事です。
反対に、毎回説明する人が同席し、後から単独で使うことのない資料なら、同じ備えが必要とは限りません。まず、渡した後にどう扱われるものかを見たいと思います。
渡した場を知らない人に、用途を聞いてみる
手元の名刺や提案書、打合せ後の資料を一つ選んでみてください。
公開できる範囲のものを、渡した場面を知らない人に見てもらい、こう聞いてみる。
「誰の、何についての資料で、どんなときに取り出すものだと思いますか」
想定と違うなら、どのつながりを会話だけに任せていたかを確かめる。その一箇所に手がかりを残す案を作り、もう一度見てもらう。
この確認だけで、実際に後から思い出せることまで証明できるわけではありません。使う人が時間を置いて見返したとき、何につながったかも別に確かめたいです。
渡した瞬間に伝わることと、説明する人がいなくなった後に使えること。その両方から、自分の資料を見直せるのではないでしょうか。
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