社員や取引先に企画を説明しても、返ってくる理解が少し違う。説明し直すたびに、自分が何を伝えたいのかも揺れてくる。そんなことはありませんか。
相手が「こういうことですか」と返し、それを聞いて「少し違います」と言い直す。この往復を、説明がうまくいかなかっただけで終わらせずに見てみます。
最初に話したときには一緒になっていた目的と手段が、相手の言葉で返ってきたことで分かれる場合があります。伝わらなかった箇所を直すことが、自分の考えを組み立て直す作業にもなる。
そのように見ると、話す前に全部をまとめることだけが、説明の準備ではなくなると思います。
言い直したところに、何があるか
例えば、「社内の打合せを減らしたい」という仮の企画を考えてみます。
相手から「会議に使う時間を短くしたいのですね」と返されたとき、「短くすることより、次の会議まで判断が止まるのを変えたい」と訂正するかもしれません。
この訂正では、言い方だけでなく、扱う問題が変わっています。
会議時間を短くするなら、議題や参加者、進め方を見る。判断を待つことが問題なら、会議を開く前に何が決められるのか、誰が決めるのかを見る必要があります。
最初の言葉からは、どちらを考えているかが見えませんでした。返された理解との差を確かめることで、説明に入っていなかった目的が表に出てきます。
これは説明のための仮例で、実際の会社で起きた出来事や改善結果ではありません。
きれいな要約が、考えの完成とは限らない
相談を受ける側は、話を早く分かりやすくまとめたくなります。
でも、筋の通った要約になるほど、本人がまだ決めていないところまで、決まったように見えることがあります。
「会議を減らす企画」として整えれば、文章は短くなる。ただ、その整え方が合っているかを本人が言い直せなければ、別の問題について話を進めてしまうかもしれません。
受け手が返す言葉は、結論ではなく、確かめるための仮の理解として扱いたいです。
「こう理解しました。違うところや、まだ決めていないところはありますか」
そう返した後に見るのは、同意が得られたかだけではなく、本人がどこを訂正したかです。目的が違ったのか。条件が抜けたのか。言葉の意味が違ったのか。
訂正を、説明の失敗を消すための修正だけにしない。考えを確かめる材料として残しておきたいと思います。
組み立てる場と、決めて渡す場を分ける
ただし、どの説明も未完成のまま渡せばよいわけではありません。
仕事を依頼する場や、決まった方針を伝える場では、相手が動けるように、目的や条件を整理して渡す必要があります。
まだ考えている途中なのか、決まったことを伝えているのか。この違いが分からなければ、受け手も判断に困ります。
考えを組み立てたいときには、「案を確かめたいので、どう理解したかを返してほしい」と先に伝える。言い直した後も、決まったことと残っている問いを分ける。
往復した回数が多いだけで、考えが深まったとは言えません。言葉が変わっても、目的がまだ決まっていないこともあります。
一つの訂正を、前後で比べてみる
次に短い企画や提案を相談するとき、最初の説明と、相手から返された理解を残してみてください。
違う箇所を一つ訂正したら、その前後を並べる。目的が変わったのか、条件を足したのか、表現を変えただけなのかを見ます。
最後に、訂正後の理解をもう一度返してもらう。ずれが残っていれば、伝え方だけでなく、何を決めたいのかに戻ってみる。
公開できる架空の企画なら、AIを相手に試すこともできます。ただし、AIの要約への同意だけで、実際の読み手にも伝わると判断しないことです。
説明の出来栄えに加えて、言い直すことで何がはっきりしたかを見る。そこから、次に考えることを選べるのではないでしょうか。
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