「先月の数字は、どこにありますか」
「この資料、最新版はどれですか」
「いつもの報告書は、誰に確認すればいいですか」
これは、社内で起こりそうな場面を表した例です。こうした質問が、いつも同じ社員に集まっていないでしょうか。
仕事をよく知る人がいることは、会社の力です。ただ、その人が資料を探し、経緯を説明し、確認まで引き受けていると、本人の仕事を進める時間が取りにくくなることもあります。
「AIで、社内の情報を探せるようにしたらどうだろう」。そう考えるのは自然です。でも、その前に、一つだけ見ておきたいことがあります。
その仕事では、どこから情報を受け取り、誰が確かめて、何を完成させているのでしょうか。
資料が見つかることと、仕事が進むことは違う
必要なファイルが見つかっても、それが今使ってよい版なのか、数字が確定しているのか、社外へ出してよいのかは、別の確認です。
分かっている社員に質問が戻る理由が、「場所を知らないから」だけとは限りません。「どれを使うか判断できない」「誰の確認で完成になるか分からない」という場合も考えられます。
そうなら、情報を検索する道具だけ増やしても、人が迷う場所は残るかもしれません。
まずは、情報を探すところから仕事が終わるまでを、一つの流れとして見てみます。
一つの仕事を、四つの欄に分けてみる
全部の業務を整理する必要はありません。例えば、毎週作っている報告書を一つ選びます。
以下は、実在する会社の事例ではなく、整理方法を示す架空の業務例です。
- 材料の場所
売上集計と、担当者が書いた今週の出来事のメモ。 - 作業する人
担当社員が必要な項目をまとめ、報告書の下書きを作る。 - 確かめる人
数字と、その理由の説明を確認する担当者。 - 完成物
会議で使う、確認済みの週次報告書。
書いてみると、「売上集計の確定版は、いつ用意されるのか」「出来事のメモは、どこへ置くのか」「確認する担当者は誰か」といった、まだ決まっていない部分が見えてくるかもしれません。
そこは、AIに推測して埋めてもらうところではありません。今の担当社員と、実際の進め方を確かめるところです。
AIを試す場所も、人が判断する場所も見えてくる
流れが分かってからなら、「担当者のメモを項目別に整理する」「確認済みの数字をもとに説明文の下書きを作る」といった、小さな試し方を検討できます。
一方で、数字の正しさや、その数字をどう受け止めるか、社外へ出してよいかといった判断は、会社として担当を決めておく必要があります。
AIをどこへ使うかと同時に、どこで人が確かめるかを決める。そうすると、任せる範囲も相談しやすくなると思います。
使う際は、その資料をAIへ入力してよいか、誰がアクセスできる設定かも確認します。まずは架空の材料や入力を許可された材料で試し、実際の情報を何でも接続することからは始めません。
担当社員と、一件だけたどってみる
最初の一手は、日々その仕事をしている社員と、最近の一件をたどることです。
材料はどこから来たのか。誰がどこで迷ったのか。最後は誰が確かめたのか。
もし確認が一人へ集中していたら、その人の頑張りを減らすというより、その人が知っている判断の手がかりを、必要な人へ渡せないか考えてみる。
ファイルの置き場所を決めるだけで進む部分もあるでしょう。AIで下書きを試せる部分もあるかもしれません。どちらを選ぶかは、その会社の仕事を見て考えます。
YBBは、経営者の希望と社員・現場の状況を出発点に、実際の仕事で試す方法を一緒に整理する支援です。
AIを入れることを先に決めるより、まず「この仕事の、ここが変わったら助かる」を見つける。そこから始めてみませんか。
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